さよなら403

青い電車の最後の駅、歩いて10分グレーのマンション

わたしたちはそこで1年間を共に過ごした

嫌な思い出しか残っていないと思っていた

最低最悪なわかれかたをした

終わりよければすべてよしとはよく言ったもので、終わりが悪かったので全て悪いのだとまさに今日まで思っていたわけである

インスタグラムに投稿された最後の一枚が切なかった

わたしたちが暮らしてきた、猫のいたあの部屋、もう戻ることのできないところ

 

あ、嫌な思い出ばっかりじゃなかったなと一瞬にして思った

水色のソファで数え切れないほどご飯を食べてたくさん笑った

あの部屋のあのベッドで何度も泣いた

帰ってきた時ご飯の匂いがするのがすきだと言っていたこと、休みの日に外に出るのはめんどくさくてサッカーのゲームをするのがすきな人だった

仕事終わりに行ったもんじゃ焼きやサムギョプサルがひたすらにおいしくて、お疲れ様と言い合えるのが嬉しくて幸せだったこ

 

うまくいけなかった

わたしは最後までぶつかり合うことから逃げた

人をズタボロにして流れてまともをなくして風俗嬢になった

会うことのなかったひとたちに会った

彼はもうあの部屋にいないしわたしも以前のようにはなれない

いいようにも悪いようにも変わっていったわたしたちは最悪な思い出も楽しかったこともすみに置いて前に進むんだと思う

交わることはないところで生きていく

彼はまた新しい恋をして今度はきっとしあわせになる

これから先、知ることはなくともどうかそうであってほしいと最後に思った

さよなら大宮、403号室